Q　弁護士を目指したきっかけを教えて下さい

中学生の頃に早稲田大学のオープンキャンパスに行って、法学部の討論を見て「カッコいい！」って思ったんですよね。当時は「法学部＝弁護士」という謎の固定観念があったので、そのまま法学部を漠然と目指すようになりました。現役の大学受験では失敗したので仮面浪人しつつ法学部を目指しました。浪人の時も結局ほぼ失敗し、唯一受かった明治大学の法学部に進学しました。正直この時は大学受験の失敗の悲しみが大きくて、いわゆる「学歴コンプ」をこじらせまくってました笑　「大学受験は上手くいかなかったし、就活戦線を勝ち抜ける気もしないから資格に逃げよ～」と思って逃げた先が弁護士だった感じです。なので、弁護士になって何かをしたかったのではなく、逃げの選択肢を取ってたら弁護士になってた感じです。性格的にサラリーマンになっていたら組織内で良くも悪くも「自己主張が強い人」で問題になってた気がするので、自由に働ける職業で救われたなと本気で思う瞬間が多々あります。

Q　弁護士としてのどのようなときに楽しみを感じますか？

お客さんから「新井先生に頼んで良かったです」と言ってもらえた時ですね。それ以外にも資金調達案件で無事着金した時、クライアントの売上が立った時、重要な契約が無事締結できた時は、クライアントからの報告を聞いて一緒に喜べて楽しいなぁと思います。当事者意識高めにコミットしてるので、クライアントの成功は自分事の様に喜べるのが楽しいところです。クライアントの取引先から理不尽な要求をされるとクライアント以上にイラっとしてることもありますが、これも含めて楽しいですね笑

Q　仕事をしていて辛いと感じるのはどんな時ですか？

お客さんの要望が法的にどうしても叶えられない時ですね。例えば、スタートアップの経営者からは、新規事業の相談を受けることが多いのですが、ビジネスアイデアとしては面白くニーズもあるものの、法的な規制によって実施することが難しいことがあります。私の方でも法規制への抵触を回避するために法律の解釈を調べて新しい解釈を考えたり、原型を出来る限り留めつつピボットする案を最大限考えるのですが、それでもどうしても法的な問題がクリアできないことがあります。そんな時には新規事業を大きくピボットする意思決定を提案することになります。仕方のないことではあるのですが、クライアントのビジネスアイデアは形に出来なかった時には自分の力不足を最も感じる瞬間で辛さを感じます。

Q　仕事をする上で一番大事にしている価値観を教えてください

当事者意識を持つことですね。弁護士なので法的な質問をされることが多いですが、単純に法的に〇×△を回答してもバリューは低いと考えています。法的な判断を前提として行いつつも、ビジネスジャッジとして何をすべきかを回答することを心がけています。クライアントが「結局どうすればいいの？」と迷う回答は出来る限り避けています。例えば、ある問題に対して取るべき手段がAとBの二つある場合、「経済合理性を優先したい場合にはA、けじめをつけることを優先したい場合にはBを選択すべき。新井なら●●社の状況（資金調達状況、売上見込等々）を考慮するとAを選択すべき。」といった形で伝えるように意識しています。最終の意思決定は経営陣に委ねますが、「少なくとも僕はこうすべきだと考えてますよ」ということは伝えています。クライアントの判断よりも自分の判断が企業価値の向上に資する確信がある時には、強めにプッシュすることも少なくありません笑　ここまでグイグイ来られると結構ウザいと思うので、意思決定にガンガン踏み込んでもらって構わないというスタンスのクライアントとの相性が良いのかなぁと思っています。

Q　スタートアップの支援で特に意識していることはありますか

私は、スタートアップの顧問弁護士の役割は、①スタートアップの事業を理解すること②リスクテイクの判断基準を明確に示すことだと考えています。
スタートアップのビジネスモデルは、既存のビジネスモデルとは大なり小なり異なったものにすることが大半です。そのため、既存のビジネスモデルとの相違点やビジネスの収益構造を正確に理解することが何よりも重要です。その上で、ビジネスモデルが法規制に抵触しているか否かを正確に判断する必要があります。この際、法規制への抵触が疑われることも少なくありません。その場合、ピボットを検討することになりますが、「ピボットした結果、収益性の低いビジネスモデル」になってしまったら意味がありません。だからこそ、収益性を維持・向上させる形でのピボットの検討に全力を尽くすことを意識しています。